研修報告

平成25年度千葉県社会福祉施設経営者協議会総会

【日時】 平成25年6月11日(火)
【会場】 於)オークラ千葉ホテル 3階エリーゼ

 千葉県社会福祉施設経営者協議会における、平成24年度事業報告、決算報告が承認された。会員法人数は変わらず、青年部会員数は5名増え、更に活発な活動を期待できる動向である。
 会の名称変更として、全国社会福祉施設経営者協議会が今年度より、全国社会福祉法人経営者協議会となったことから、千葉県も施設を法人に変え、「千葉県社会福祉法人経営者協議会」となった。施設のみならず、法人全体、福祉の分野を超えた経営が臨まれる方向性にあわせた名称変更となった。
 そして、専門部会の規程変更において、総務部会改め経営対策部会として、①千葉県への要望②人材確保対策③生活困窮者対策、社会貢献事業、以上3つの柱を具体的な方針として進めていくという、社会福祉法人としてのあり方を再認識させるような、事業内容の追加があった。そして、研修部会と、広報部会改め総務広報部会においても、積極的な活動内容となった。
 次に、千葉県社会福祉法人経営者協議会、同青年部会の事業計画、予算が承認された。親会においては、社会福祉法人の高い公益性と使命をもって、福祉を必要とする方々が安心して暮らせるよう福祉向上を展開させるべく、8つの重点事業が挙げられた。(研究の充実、経営者セミナー及び経営者大会の充実、社会福祉法人の経営力の強化、社会福祉施設経営者指導事業の実施、青年部会活動の推進、情報提供の推進、会員加入の推進、関係機関等との連携)そして、青年部会の活動内容として、組織強化活動、広報活動、研修企画活動の3つの柱で、積極的に活動する方向である。
 続いて、任期満了に伴い、常任協議委員及び監事が選任され、会長、副会長が常任協議委員会において互選され承認された。

経営者セミナー

講義1「生活困窮者をめぐる施策と法整備の方向」
厚生労働省社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室長 熊木正人 氏

講義2「生活困窮者への支援として社会福祉法人は何をもとめられるか」
社会福祉法人さくま理事長、全国社会福祉法人経営者協議会副会長、
社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」委員 武居 敏 氏

このセミナーが行われた6月11日には、この法案がほぼ固まっており、この数日間を注目してほしい、とのことであった。
 昨今の生活保護受給者数は、戦後の高度経済成長期ごろの数を越えている。そして、生活保護の世帯として、高齢者、母子、障害者、傷病者のどれにも属さない、その他の類が増えてきている。そこには何らかの理由で、働きたくても働けない人、そして50歳以上の人が半数以上を占めている。
 そこで、社会保険や労働保険制度と、生活保護の間にある、求職者支援制度を改定し、生活困窮者対策を講じている。そこには4つの視点と、3つの支援がある。「自立と尊重」「つながりの再構築」「子ども・若者の未来」「信頼による支え合い」、そして「包括的・個別的な支援」「早期的・継続的な支援」「分権的・創造的な支援」となっている。
 そして、生活困窮者自立支援法案が今通常国会に提出されている。「生活保護に至る前の段階の自立支援対策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立支援事業の実施、居住確保給付金の支給その他の支援を行う為の所要の措置を講ずる。」となっている。そして具体的な概要としては、①自立相談支援事業の実施及び住居確保給付金の支給(必須事業)②就労準備支援事業、一時生活支援事業及び家計相談支援事業等の実施(任意事業)③都道府県知事等による就労訓練事業の認定④費用は、自立相談支援事業・居住確保給付金(国庫負担3/4)、就労準備支援事業・一時生活支援事業(国庫補助2/3)、家計相談支援事業・学習支援事業その他の生活困窮者の自立の促進に必要な事業(国庫補助1/2)となっている。
 私の地域でも、高齢者の相談とともに、様々な問題を抱えた家族に接することが多くある。ご本人は生活保護。キーパーソンは孫。孫にはそのまた子ども。どうやって生活しているのか、大丈夫かしら、などと思うことがある。いままでは、行政も、担当部署が担当のことしか関われず(関わらず?)その家庭全体のことを考えてあげるということは、なかなか難しいことであった。しかも、相談しやすい環境ではないところ、まして相談できない人、自分では困っていないと思っている人などなど、どうすれば。一番大事なのは「アウトリーチ」で、自分の目でみて、福祉の手まで持ち上げてあげなければならない。
 講義2において、社会福祉法人の立場からの目線で、この困窮者についての話であった。まず、社会福祉法人の内部留保が問題になり、報道でもとりざたされているが、実際の正味現金留保としては3,300万円ぐらいのところが多く、建物の維持などを考えると多くは無い金額ではないか。どちらにしても、優遇措置としての免税(固定資産税があったら都市部においては多額)などにより、社会福祉法人はいらないなんて言われるほどである。そこには、社会福祉法人と名のつくように、社会貢献、地域の福祉ニーズに応えることをもっとやらなくては!という、何かじっとしていられない、そわそわした気持ちで聴いていた。
 既に実践している法人の話では、貧困の連鎖の防止として、こどもの教育に取り組み、大学生のボランティアや、教員OBのボランティアにより、特養の一部において生保世帯の子どもの学習支援をしているという。
 これからの、社会福祉法人は、現状維持で甘んじず、常に向上し、広い視野で物事を捉え、質の向上、お客様サービスとして、あたりまえの考えは無くし、優遇されている環境を最大限に活かし、地域になくてはならない存在にならなくては、と熱く胸に感じた一日でした。

社会福祉法人 福徳会
特別養護老人ホーム 吉祥苑
理事・施設長 原田 裕子
(千葉県社会福祉法人経営者協議会青年部会 広報委員)